1.カラダ
- 医療機関を利用するかどうか、どう判断したらいいですか? 働く女性
- 軽い症状だと、医療機関を受診すべきかどうか、迷いますよね。医療サイドとして受診の判断の目安として頂きたいのは、「日常生活に支障が出ているかどうか」「市販薬が効かないかどうか」です。日常生活に支障がある症状で、しかも市販薬では対処しきれない、ということであれば、是非、早めに、医療機関を受診して下さい。
ただ、早期治療が必要な病気が隠れている場合も考えられますので、基本的に、年1回、健康診断は、きちんと受けることが必要です。その時に、気になる軽い症状について、申告すると、適切なアドバイスをもらえます。
もし、ご家族や血縁者に癌の方が多い、とか、自己免疫疾患の方が多い、といったことで心配であれば、日常生活に支障がなくても、念のため、医療機関で相談なさるといいでしょう。
なお、人によっては、軽い症状が気になって、何か所も医療機関で相談なさる方がおられますが、3か所まではいいとしても4か所以上、相談する必要はありません。
回答者:星野寛美(産婦人科医師) - 生理痛がひどいが婦人科を受診するのは、嫌。どうしたらいいですか? 働く女性
- 生理痛がひどい場合、放置すると生理以外の時期にも激痛を起こす可能性のある病気や、手術が必要な病気が隠れていることがあります。市販薬で、痛みが治まるのであれば、市販薬を飲みながら対処して頂ければいいのですが、念のため、一度、超音波検査で子宮や卵巣の病気がないかどうか、確認をしておいたほうがいいですね。
婦人科を受診したくない理由は何でしょうか? 婦人科は、「妊娠に関わる診療科」というイメージがあり、受診をためらう方もいますね。また、性交の経験がないので、内診(膣からの診察)を受けたくないとか、男性の医師だと相談しにくい、という方も多いようです。
内診が難しい場合は、肛門からの診察、あるいはベッドの上で、お腹の上からの超音波検査をお受けになることも可能です。ご自身の希望を、医師や看護師に伝えて、診察内容を配慮してもらえるといいでしょう。
また、婦人科の医師が女性か男性かは、インターネット上で確認できる医療機関がほとんどです。もし、心配であれば予め電話で、女性医師かどうか確認した上で受診なさるといいでしょう。インターネットで診察時間や担当医師を予約できる医療機関も増えています。上手に利用して頂きたいと思います。
なお、生理痛に対しての治療法ですが、痛み止めだけではなく、ホルモン剤や漢方薬による治療もあります。それぞれの治療方法について、効果、副作用等、詳しく説明を受けた上で、適切な治療をお受けになり、痛みから解放されるといいですね。
回答者:星野寛美(産婦人科医師) - 生理の量が多くて、仕事中も苦労しています。どうしたらいいですか? 働く女性
- 生理の量が多くて、生理用品の交換の時間を逃すと服や椅子を汚してしまう、というお悩みの方は、仕事中に業務に集中できず、お困りのことと思います。
生理の量が多い原因について、検査をお受けになったことはあるでしょうか?
子宮筋腫、子宮腺筋症といった病気によって量が多い場合には、閉経になるまでは、徐々に悪化する可能性がありますので、早めに適切な治療をお受けになることをお勧めします。
子宮筋腫や子宮腺筋症は、悪性の病気ではないので、命に関わることはありませんが、毎月、生理の量が多くて苦労なさっているということであれば、止血剤、ホルモン剤などの薬による治療、あるいは適切な手術をお受けになったほうが、いいだろうと考えられます。
子宮筋腫や子宮腺筋症など、超音波検査では明らかな病変は見つからないが、生理の量が多い、という場合、血液のご病気もない状態であれば、「機能性過多月経」と判断します。その時は、主に薬で治療します。一般的には、避妊にも使う低用量のホルモン剤を使うことにより、生理の量を減らすことが期待できます。
仕事に支障を来すような大量の生理であれば、是非、レディースクリニックなど婦人科でご相談下さい。
回答者:星野寛美(産婦人科医師) - 生理休暇の制度はあるけれど取りにくい。どうしたらいいですか? 働く女性
- 生理休暇は働く全ての女性労働者に適用される休暇ですが、生理は女性特有のもので生理痛にも個人差があるため、周囲に理解されるかどうか心配で申請しにくいという声をよく聞きます。厚生労働省の調査によれば、生理休暇の取得率はわずか0.9%とほとんど利用されていません。その理由として挙げられるのは、「生理だと知られるのが恥ずかしい」「生理くらいで仕事を休める雰囲気ではない」といった「取得のしにくさ」です。
確かに、生理日の体調不良について言い出しにくい面もあるかと思いますが、就業できないような状態で無理に出勤しても、本人の健康を害することはもちろん、職場にとっても好ましい環境ではありません。生理は毎月のことですし、辛くて働けないようであれば率直に上司に伝えるべきです。もし一人で上司に言いにくければ、同僚や同じ悩みを持っている女性と一緒に申し出ることも考えられます。また、面談などの機会に、生理に伴う症状により就業が難しいことがある旨をあらかじめ伝えておくこともひとつの方法です。その際に、どのような症状かできるだけ具体的に伝えると上司も理解しやすいと思います。生理休暇の取得には原則として医師の証明などは不要ですが、ご自身で説明しにくい場合は、医師の診断書などを用意して上司に見せてもよいかもしれません。
生理休暇は、当日の口頭での請求も半日や時間単位の請求も可能で日数の上限もありませんが、「生理日の就業が著しく困難な場合」の休暇であり、単に生理であることだけで認められるものではありません。また、休暇を取得する場合には「当然の権利だから」という態度ではなく、休暇により仕事に支障がでないような配慮など周囲への心配りも大切です。日頃から職場での良好なコミュニケーションを築いておくと良いでしょう。
そのようにしても、生理休暇の取得について上司や職場の理解が得られない場合には、一人で悩まず人事担当者に相談してください。使用者には就業環境に配慮する義務がありますので、会社の問題として対応を求めることができます。
(2020年10月現在)
回答者:梅本公子(特定社会保険労務士) - 「不妊治療で休むならもう辞めたら?」と上司から言われました。どうしたらいいですか? 働く女性企業担当
- 不妊治療に伴う検査や投薬、ストレスなどにより、女性の心身に大きな負担がかかることが多く、仕事との両立が困難になる場合もあります。本来ならば上司が職場の要となって仕事との両立を支援すべきところですが、相談者の場合、上司の理解が得られない状況ですので、ひとりで悩まずに、まずは会社の相談窓口や人事担当者などに相談してみてください。
2020年6月の男女雇用機会均等法の改正に伴い、いわゆるマタハラの原因や背景に「不妊治療に対する否定的な言動」が含まれることが指針に明記されました。今回の上司の発言はハラスメントに該当する可能性もあります。社内で相談しにくいような場合など、都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)へ相談することも可能です。
現在のところ、不妊治療に伴う休暇制度などは法制化されていませんが、健康経営の観点から積極的に支援に取り組む企業が増えてきています。ご自身の会社に不妊治療でも利用できる制度(休暇や休職、治療費の補助、勤務時間の調整等)がないか就業規則などで確認してください。傷病に関する制度などが不妊治療にも適用されるかもしれません。
なお、不妊治療中であること等を伝えるためのツール「不妊治療連絡カード」や特定の不妊治療に係る費用の助成制度などの情報(※)が厚生労働省のウェブサイトに掲載されていますし、自治体などでも独自の支援を行っている場合がありますので、是非確認してみてください。
不妊治療期間中は、早退や遅刻、休暇などが多くなり、長期化することも考えられるため、治療の継続には職場の理解が欠かせません。治療について正直に打ち明けられるよう日頃から良好なコミュニケーションを築いておくことが大切です。また、急な休みなどに備え、できるだけ仕事を前倒しにすることや、業務の見える化(マニュアル作成や進捗状況一覧作成など)を図っておくと良いと思います。
(※)不妊治療に関しては改正の動きがありますので最新の情報を確認してください。
(2020年10月現在)
回答者:梅本公子(特定社会保険労務士) - 何となく、疲れやすい。朝も熟眠感がありません。更年期だから、そのうち治ると思いますが、ほっておいていいですか? 働く女性
- 朝、寝覚めがスッキリせず、疲れやすい、ということですと、睡眠の質が問題のようですね。もし、日中眠気に襲われて仕事に支障がある、ということであれば、一度、かかりつけのクリニックなどで、ご相談なさるといいでしょう。
閉経の5年前から5年後までの期間を更年期と呼んでいます。更年期の時期には、さまざまな症状が出ます。一般的には、ほてる、ぱっと暑くなるがしばらく経つと治まる(ホットフラッシュ)、汗が出る、動悸がする、といった症状と共に、疲れやすい、眠りが浅い、気分が落ち込みやすい、といったことが起こります。
もし、ホットフラッシュなどがなくて、熟眠感がなく、何となく疲れやすい、ということだけであれば、更年期のため、というよりも、睡眠の質の問題だけ、ということが考えられます。そのため、まずは、睡眠の質を改善するための工夫をなさり、それでもよくならないようであれば、市販薬を使ってみる、あるいは、内科などで、ご相談なさるといいだろうと考えられます。もし、婦人科でかかりつけのクリニックがあるのであれば、婦人科でも、ご相談可能です。
なお、更年期の症状は、自然に軽くなり、なくなっていく場合が多いのですが、閉経後6年以上経っても、症状が残ることがあります。その場合は、「更年期障害」ではなく、自律神経の失調などによる症状と考えられますので、内科などで、ご相談なさるといいでしょう。
回答者:星野寛美(産婦人科医師) - 乳がん検診・子宮がん検診はいつからどんなものを受けたらいいですか?(自治体による制度の違いはありますか?) 働く女性企業担当
- 国が進める検診は、次のとおりです。
がんの種類 対象者 受診間隔 検査項目 乳がん検診 40歳以上 2年1回 問診および乳房X線検査(マンモグラフィ) 子宮頸がん検診 20歳以上 2年1回 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診
検診の受け方は下の3つの方法があります(乳がんも子宮頸がんも共通)- お住まいの市区町村の補助制度を利用する
各自治体のホームページでご確認ください。自動的に受診券が郵送されてくる市区町村もあれば、自分で申し入れしないと受診できない場合もありますので、必ず、ご自分のお住まいの自治体のホームページ、広報誌で確認するか、電話でお問い合わせをしてください。
自己負担の金額にも市区町村で違いがありますので、あわせてご確認ください。 (日本医師会ホームページ) - 職場での検診を利用する(実施や補助の有無については、勤務先の検診内容をご確認ください。)
- 人間ドックなど自身で個別に検診を受ける(病院・クリニック等のホームページを確認し予約をしてください。)
- お住まいの市区町村の補助制度を利用する