判例データベース

東京学習塾事件

事件の分類
セクシュアル・ハラスメント
事件名
東京学習塾事件
事件番号
東京地裁 − 平成8年(ワ)第24251号、東京地裁 − 平成9年(ワ)第26838号
当事者
原告本訴原告 個人2名A、B

原告本訴原告・反訴被告 個人1名C

被告本訴被告・反訴原告 個人1名X、学習塾株式会社
業種
サービス業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1998年11月24日
判決決定区分
本訴 一部認容・一部棄却、反訴 却下(控訴)
事件の概要
 被告会社は学習塾を経営する会社であり、被告X(男性)は被告会社の代表取締役で、学習塾の講師として授業を行っていた。原告Aは、当時高校3年に在学中で、被告会社の学習塾で授業等を受けていた女性であり、原告B、Cは原告Aの母及び父である。

 原告Cは、平成7年8月、被告会社との間において、原告Aとその弟Dに2学期の授業及びテスト等を受けさせる旨の契約を締結し、被告会社に対し、両名の授業料として30万円を支払った。

 平成7年9月21日夜、原告Aが肩が凝っているような仕草をしたところ、被告Xは肩を揉んでやるなどと言って原告Aの肩を揉み、更に腰を揉んでやるなどと言って、原告Aが一旦断ったにもかかわらず、原告Aを並べた椅子の上に伏臥させ、背中から腰の辺りをマッサージし、そのうち、突然原告Aの首に腕を回して、その体に覆い被さり、自らの顔面を原告Aの頬にすり寄せ、更に頬に接吻するかのような仕草をし、原告Aが制止を求めたにもかかわらず、容易にやめなかった。

 原告らは、被告Xの行為は、被告会社の職務を行うについての不法行為であること、原告Aは被告Xの行為により甚大な精神的衝撃を受け、翌年の大学受験では講師ら全員から合格は大丈夫であろうと言われながら、被告Xの行為により学習塾への通学が不可能となり、浪人を余儀なくされたことを主張し、被告らに対し慰謝料300万円を請求した。また、原告Cは、被告Xの行為により、原告A及びDを通学させることが社会通念上不可能になったとして、被告会社に対し授業料相当額30万円の返還を求めた。
 これに対し、被告らは、日頃から原告Aが被告Xに肩や腰をマッサージさせていたところ、当日も被告Xにマッサージを申し出、そのため被告Xは普段通り原告の肩や腰をマッサージして上げたに過ぎないとして、セクハラ行為を否認した。また、被告らは、原告Cが、何ら事実を確認することなく警察に虚偽の通報をし、そのため警察が深夜教室に令状もなく立ち入ったこと、事実関係等の認識も矛盾錯綜し不明確であるにもかかわらず、被告Xに対し、全く理不尽な告訴を行ったこと、電話で被告Xに対し、声高にやくざまがいの悪罵を投げかけ威嚇したこと、慰謝料と支払い済み授業料を払わなければ法的手段を考慮するという極めて威嚇的な通知書を送付する等の行為を行ったことを挙げ、これらは被告Xの名誉を毀損し、被告会社の業務に多大な支障をもたらしたものであるとして、不法行為に基づき100万円の損害賠償を請求した。
主文
1 被告らは、原告Aに対し、各自、金60万円及びこれに対する平成7年9月21日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 被告会社は、原告Cに対し、金24万円及びこれに対する平成7年8月21日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

4 被告らの反訴を却下する。

5 訴訟費用は、本訴について生じた部分は、これを2分し、その1を被告らの、その余を原告らの負担とし、反訴について生じた部分は被告らの負担とする。
6 この判決は、第1、第2項に限り、仮に執行することができる。
判決要旨
 被告Xは、これまでも、他の講師や生徒がいる際、教室で、何回か原告Aや他の生徒に対し肩をマッサージしたことがあり、平成7年8月の合宿の際には、他の講師や生徒がいる際、伏臥した原告Aの背中や腰をマッサージしたことがあったが、これまで格別の問題が生じなかったことが認められる。しかしながら、平成7年9月21日夜の状況及び被告Xの行動は、これらの際の状況及び被告Xの行動と同じではないから、これらの事実は認定を左右するものではない。

 被告Xの行為は、原告Aの意に反する身体的接触と性的行動であったと認められるから、不法行為に当たるものというべきである。被告Xの行為は、同被告が補習授業という被告会社の職務を行うにつき行ったものであるから、被告会社には、商法261条、78条、民法44条1項に基づき、被告Xの行為により原告Aが被った損害につき賠償責任を負う。

 原告Aは、平成7年9月当時、高校3年に在学中で、翌年大学の薬学部を受験する予定であったが、同年6月及び7月に実施された模擬テストの結果では、志望大学の合格は相当困難な成績であったことが認められ、被告Xの行為と原告Aが浪人したこととの間に相当因果関係があると認めることはできない。被告Xの行為の態様、原告Aの年齢及び立場、原告Aと被告Xとの従前の間柄その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告Aの精神的苦痛に対する慰謝料は60万円が相当と認められる。

 原告Cは、被告Xの本件行為により、原告AとDに被告会社の学習塾で行う授業、テスト等を受けさせることが社会通念上不可能となったものであるところ、これは被告会社の代表取締役である被告Xの行為によるものであるから、被告会社には債務不履行の責任がある。ところで、本件契約に基づく被告会社の授業、テスト等を行う債務は可分であり、しかも既に行われた授業やテスト等によって原告AとDは利益を受けていると認められるから、本件契約の解除は未履行の部分についてのみ効力を生じたものというべきである。そして、平成7年2学期は、9月初旬から同年12月下旬までであることが推認されるので、本件契約の未履行の部分の割合は5分の4を下回らないと認めるのが相当であるから、被告会社は、原告Cに対し、本件契約の解除を理由とする原状回復

請求権に基づき、授業料の一部24万円を支払う義務がある。

 反訴(略)
適用法規・条文
民法44条、709条、710条

商法78条、261条
収録文献(出典)
1682号66頁
その他特記事項
本件反訴は控訴された。

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