企業取組事例
河村電器産業 株式会社

“健康休暇”を定着させた強いトップメッセージの発信と助け合い風土の醸成

男性が多い電気・建設業界でありながら女性に配慮した“健康休暇”をはじめとする様々な制度を確立・定着させている。 制度の運用を成功させ、助け合い風土の醸成ができた背景には、常に従業員を家族のように大切に思ってきた経営TOPが行った意識改革にあった。

河村電器産業
河村電器産業 株式会社
https://www.kawamura.co.jp/
  • 業種:製造業(受配電設備、屋内外配線器具の製造販売)
  • 本社:愛知県瀬戸市暁町3番86 全国10支店 6工場
  • 従業員数:単体1792名(男性1450名 女性342名)
  • 連結:1958名(2021年3月31日現在)

女性特有の健康支援

・女性:健康休暇(年12日+3日 計15日有給)
・男性:健康休暇(年3日)
※女性については生理休暇という名前を無くし、健康休暇に一本化。健康診断やワクチン 接種、つわり、更年期不調、不妊治療など範囲も拡大している。半日単位での取得も可能。

女性従業員の声

男性が圧倒的に多い職場のため、男性の上司には生理で休みを取りたいとは、なかなか言い出すことができなかった。 「健康休暇」としてもらい、非常にありがたかった。 また、積み立て型の有給休暇も合わせて取得することも可能で、体調が悪いことが長引いた場合も休むことができた。

主な健康支援の取り組み

2017年8月~ 「健康休暇」制度を導入!

『健康休暇』という名称で男女問わず3日間の有給休暇を付与している。 労働安全衛生法で定める健康診断以外の検診、予防接種、二次検診等、健康増進に係る使途で利用が可能。女性従業員にはもともと年間12回の有給生理休暇を設けていたため、女性の健康休暇は、年間合計15回ということになる。 こちらの「健康休暇」は労働基準法定められている「有給休暇」とは別に付与される。


2011年7月~ 福利厚生 カフェテリアプラン制度を導入!

当時カフェテリアプランのポイント制度を導入していたが、 人によってメニューが使える、使えないがあり時代に即していない部分もあった。そのため、年間5万円を付与したなかで、各自で自由に使えるように変更した。 それにより、全額個人負担であった健康診断の二次検診は、カフェテリアプランを利用することで、個人の負担額を0円にすることが可能になった。その甲斐もあり、 二次検診結果の提出率が制度導入前と比較し20%から30%程度向上している。


その他のカフェテリアプラン制度

従業員を対象とした、「生活習慣病予防検診」、「乳がん・子宮がん検診」また、従業員の配偶者を対象とした「配偶者 特定健康診断」の補助を実施し、従業員のみならず家族の健康に配慮している。


2015年4月~ 給食委員会の設置!

当初、工場で提供される食事は、揚げ物などの、栄養バランスの取れていない食事が多いことが懸念されていたため、 給食委員会を設置した。毎月10日に委員会を開催し、栄養士と食事メニューの検討を行い、従業員の食事内容の見直しの実施や、 喫食ごとに栄養成分がオンライン上で閲覧できるシステムを導入している。また、工場以外の拠点には社員食堂がないため、 提携しているお弁当屋さんにシステムを通して注文すると3割の食事補助がでるようにしており、金銭面で従業員をサポートしている。 こちらは対応拠点を拡大中である。

取り組みのきっかけ

健康診断の二次検診(有料)の結果提出率が非常に悪く、その解消のためには、 休暇の確保と費用負担軽減の両方に取り組む必要があった。そのため、「健康休暇」で有給を確保し、 カフェテリアプラン制度で、検診費の負担をなくす措置をとった。

健康支援への取り組みで工夫されたこと、苦労されたことは

福利厚生を含め制度構築は様々なリソースを必要とするため、無制限に・全ての従業員の望み通りというわけにはいかない。 従って、どんな制度や規則でも、どこかで線引きをしなければならない。その際、何故その線引きなのか、会社の考え方を示すことが重要。 リソースが有限である以上は、必ず理想と現実との差が生まれるので、その差をどのように埋めていくかに苦労した。 また、女性特有の制度については男性社員への理解や、制度の周知と定着が必要不可欠であると考え、強いTOPメッセージを発信するとともに、全従業員に対して新制度について説明をして回った。その他、社内報である『RIVA VIVA』にパンフレットを同封して自宅へ郵送するなど、従業員の家族に対しても周知を行ってきた。

今後の課題、展望

「アクティブ・ディフェンス」というミッションの通り、従業員の健康と命を守るために、より良い制度の制定・浸透に努めていく。 また、新型コロナウイルス感染症などの対策においても、先行してどのような手を打つかを検討している。

休暇制度のガイドブック

休暇制度のガイドブック

給食委員会の様子

給食委員会の様子

(2021年7月の取材に基づく内容です。)

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