専門家コラム

体型について。やせすぎ、太りすぎのリスクと対策

1.女性の美容・健康面において理想の体型とは

数年前からブームとなっている、ダイエットや健康ブームは長年カタチを変えながら女性の美意識へ強く根付いています。その指標の1つとして揺るがないのは「体重/kg(BMI)」ですが、実は女性の健康と美容面の両面で体型管理をするためには、体重(BMI)の数値だけでは管理できません。もう1つ必要な数値は、「体脂肪率」です。
一般社団法人ラブテリでは、体重(BMI)と体脂肪率で算出する『体型体格の7タイプ判定基準』を設けています。女性の健康面・美容面、将来妊娠を希望する女性が参考にすべき指標です。
女性の体型は、妊娠•出産に大きな影響を及ぼす排卵•月経•AMH (卵巣年齢)と密接な関係があることが国内外の研究から報告さ れており、妊娠前の女性のBMIは赤ちゃんの体重にも大きな影響 を与えることがわかっています。
理想とされる【ベストスコア】はBMI19〜25未満(kg/㎡)・体脂肪率19〜28%です。
この基準に当てはまらない場合は、痩せまたは肥満体型に分類されますが、見た目がスリムでも体脂肪率が高い【隠れ肥満】タイプも存在するため、決して見た目だけではなくBMIと体脂肪率の2つの数値から算出する必要があります。

算出方法

  • BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
  • 体脂肪率:体組成計機器を利用し算出(スポーツジムやヨガスタジオなどに設置されています)

図1:7タイプ別体型分類

2.痩せすぎと太り過ぎ、それぞれのリスク

現在の体型タイプが把握できたところで、さらにBMIと体脂肪率それぞれを適正数値範囲にとどめる必要性についてご紹介します。その理由としてはタイトルの通り、痩せすぎも太り過ぎもリスクがあるからです。

痩せ体型のリスク

BMI19以下

  • 子宮内膜症リスクや骨密度減少リスクが上昇
  • 痩せ女性増加は 将来の不妊症/低出生体重児のリスクが上昇
体脂肪率21%未満
  • 月経不順、無月経、無排卵リスク上昇
  • 20代の場合は卵巣年齢の高齢化要因

肥満体型のリスク

BMI25以上

  • 排卵障害のリスク上昇
  • 卵巣年齢の高齢化要因
  • 乳がんのリスク上昇
体脂肪率28%以上
  • 多嚢胞性卵巣症候群(排卵障害の一種で不妊症の要因の1つ)
  • 卵巣年齢高齢化要因

こうした女性特有の疾患と体型タイプを結びつけた情報は、なかなか触れる機会が限られているため、日常的(週1回程度)な体重・体脂肪率の把握をまずは習慣にすることが重要です。その際の注意点として、月経周期による体重・体脂肪率の数値変動です。 排卵後から月経前の時期は、プロゲステロン(ホルモン)の分泌が増加することにより、体内に水分を溜め込みやすく、さらに血流や消化器官などの運動も抑制されます。その結果、むくみや便秘、お腹のハリなどを引きをこし、これにより個人差はありますが1〜3kgほどの変動が見られる場合もあります。
そのため、月経周期と合わせて体重・体脂肪率の把握と、その時期の便通やむくみの状態と照らし合わせて把握することもオススメしています。
月経周期の把握は、月経前〜月経中の身体的・メンタル的な変化を手帳などに記録し可視化することで、「体調に合わせたスケジュール管理などがしやすくなった」という声も多く寄せられているのでぜひ実践なさってみてください。

3.体型タイプ別の注意点と対策

一般社団法人ラブテリでは、過去の働く女性の調査(※1)から、体型タイプ別の食生活の傾向と対策(アドバイス)をまとめています。

例【隠れ肥満型/ふくよかタイプ】の場合
傾向:3つの糖質(お酒・麺類・スイーツ)が多い
アドバイス:
・3つの糖質の過剰摂取に気をつける
・血糖値の上昇が緩やかな「低GI食品」の積極的摂取
・お酒を控えめに

肥満体型の場合は、食事内容だけではなく、便通の状態(慢性的な便秘)や睡眠時間(睡眠の質)・運動習慣なども大きく関連することから、生活習慣全体を見直すことが有効です。
※参照:コラム【三大不足(栄養・睡眠・運動)とそのリスク、対策 】「働き女子 6つの新習慣メソッド」

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著者:豊永彩子
管理栄養士/フリーランス
一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)